「ScopeV」とは、企業のサステナビリティ活動を通じた“社会・経済への貢献価値” を可視化し、非財務情報を企業価値へと転嫁する指標です。
Scope1~3で直接・間接のGHG排出量を算定し、Scope4で「他社の排出削減に貢献した量(削減貢献)」を評価したうえで、さらにその先の「企業価値(Value)」としてScope Vを設定しています。
概要 | 意義 |
---|---|
Scope 1〜3 | GHG排出量を把握し、可視化する |
Scope 4 | 他社の温室効果ガス削減に貢献した量を評価する |
Scope V | サステナビリティ活動そのものを企業価値として社会に提示する |
Scope V により、単に排出量を減らすだけでなく、企業の ESG 活動が 社会的・経済的価値として認識される仕組みを形成します。 |
Scope1〜3やScope4(他社の削減貢献)に加え、企業のESG活動が社会や経済に与える価値を可視化することで、サステナビリティをコストやリスク管理ではなく、企業価値向上の源泉へと変えていきます。
非財務情報を具体的な価値として示すことができ、ブランドイメージの強化や投資誘引につながります。
ESG対応が単なる規制対応やリスク回避から、新たな市場機会や顧客価値創造の「攻めの経営戦略」へと進化させます。
他社やサプライチェーンと連携し、サステナブルな社会課題の解決や価値創造を共に進めるための共創基盤となります。
環境負荷低減と経済的利益の両立を図り、長期的に持続可能なビジネスモデルの確立を支援します。
01 | 自動車部品業界:CO₂ラベリングと共創価値の創出 |
ある自動車部品メーカーは、製品ごとのCO₂排出量を詳細に計測し、サプライチェーン全体の排出削減に貢献しています。
その削減貢献をScope4として評価するとともに、サステナブル製品としての付加価値をScopeVで可視化することで、顧客企業との共創関係を強化しました。
結果として、環境配慮型商品の市場シェア拡大や、ESG評価の向上といった成果につながっています。
02 | 鉄鋼業界:自動エネルギーバランス管理 |
ある鉄鋼企業では、エネルギー使用効率の改善に加え、電力の再生可能エネルギーへの転換を積極的に推進しています。
その結果、節約したエネルギーや再エネの利用分が他企業のCO₂削減に寄与すると評価され(Scope4)、さらにそれを価値創造(ScopeV)として
経営戦略に組み込みました。これにより、グリーン製品としての差別化を実現し、ESG投資家からの注目も高まることで、資金調達コストの低減にもつながっています。
03 | 金融業界:グリーンインパクト投資 |
ある金融機関では、ESGスコアの高い企業への投融資を強化し、投資先企業のCO₂削減効果や社会貢献をScopeVとして評価しています。
さらに、そのインパクトを投資家に対して可視化することで、投資誘引を促進しました。
結果として、ESG投資の拡大と持続可能な社会の実現に貢献しています。