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グリーントランスフォーメーション(GX)とは?意味やメリットとGX推進企業の事例を解説

現在、カーボンニュートラルの実現に向けて、世界中で注目されているのが「グリーントランスフォーメーション(GX)」です。GXとは、温室効果ガスを発生させる化石燃料から、太陽光発電や風力発電などの(再生可能な)クリーンエネルギーを積極的に活用し、脱炭素社会と経済成長を同時に目指す(実現させるための)取り組みのことを指します。
日本でも、2020年に政府が「2050年カーボンニュートラル」を宣言したことをきっかけに、GXが本格的に注目されるようになり、企業活動における重要なテーマとなっています。
本コラムでは、GXの基本的な考え方をやさしく解説しながら、実際に企業が取り組んでいる事例もご紹介します。

目次[非表示]

  1. グリーントランスフォーメーション(GX)とは?
  2. グリーントランスフォーメーション(GX)が重要な背景
    1. 地球温暖化の進行
    2. 世界的なビジネスルールの変化
    3. エネルギー事情の不安定化
  3. グリーントランスフォーメーション(GX)のメリット
    1. エネルギーコストの削減
    2. 企業イメージ向上と人材の確保
    3. 新しいビジネスチャンスの獲得
  4. グリーントランスフォーメーション(GX)とカーボンニュートラルの違い
  5. GXと脱炭素の違い
  6. GX化・GX推進とは?
    1. GX化・GX推進とは?
    2. GX化・GX推進の取り組みがなぜ重要なのか?
  7. グリーントランスフォーメーション(GX)に取り組んでいる企業の事例
    1. トヨタ自動車株式会社の事例
    2. Amazonの事例
    3. ENEOSホールディングス株式会社の事例
    4. ダイキン工業株式会社の事例
    5. 加藤軽金属工業株式会社(非鉄金属製造業)
    6. 国内大手鉄鋼メーカーの事例
  8. グリーントランスフォーメーション(GX)の具体例「企業ができること
    1. 再生可能エネルギーの導入をする
    2. エネルギー効率の向上をする
    3. ペーパーレス化の推進をする
    4. インターナルカーボンプライシング(ICP)の導入をする
  9. 上場企業に求められるGX戦略と「ESG経営共創サービス」
    1. ESG経営共創サービスの概要
  10. GX化・GX推進のどの範囲を支援できるか?
    1. 実際の支援事例

グリーントランスフォーメーション(GX)とは?

グリーントランスフォーメーション(GX)とは、脱炭素社会を実現するために温室効果ガスの排出削減を目的とし、化石燃料から太陽光発電や風力発電などの(再生可能な)クリーンエネルギーを積極的に活用していくことで、脱炭素社会と経済成長を同時に実現させることを目指す取り組みのことを指します。これは単なる環境対策にとどまらず、企業のビジネスモデルや社会全体の変革を促す包括的な概念です。

GX戦略を支援するESG経営共創サービスの概要
ESG経営共創サービスの概要資料がダウンロードできます。

資料の主な内容
ESG経営共創サービスの概要、解決できる課題、Scopeの範囲、サービスメニューなどを詳しくご紹介しているカタログです。
また、ESGのデータマネジメントプラットフォーム「Kkuon」についても、主な機能や画面イメージ、何ができるのか?を解説しています。

グリーントランスフォーメーション(GX)が重要な背景

地球温暖化の進行

気候変動による猛暑や豪雨災害が世界中で深刻化しており、もはや「待ったなし」の状況です。CO2などの温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」は、人類共通の緊急課題となっています。将来の世代に安心して暮らせる地球を残すため、これまでの化石燃料に頼った社会システムからの転換が強く求められています。

世界的なビジネスルールの変化

環境への配慮が、企業の「稼ぐ力」を左右する時代になりました。「脱炭素」に取り組まない企業は、投資家から選ばれなくなったり、大手企業の取引先から外されたりするリスクが高まっています。GXは単なるボランティア的な環境活動ではなく、企業が世界で生き残るための必須条件であり、最大の「成長戦略」となっているのです。

エネルギー事情の不安定化

世界情勢の変化により、石油や天然ガスなどの価格高騰や、輸入が止まるリスクが浮き彫りになりました。資源の多くを海外に頼る日本にとって、エネルギーを自国内でまかなえる体制づくりは急務です。太陽光や風力などの再生可能エネルギーを増やすことは、電気代の安定など、私たちの生活と国の安全を守ることにつながります。

グリーントランスフォーメーション(GX)のメリット

エネルギーコストの削減

省エネ性能の高い設備に変えたり、太陽光発電を取り入れたりすることは、毎月の電気代や燃料代を下げることに直結します。最初は導入コストがかかりますが、長い目で見れば固定費を抑えることになり、利益が出やすい効率的な経営体質を作れます。資源価格の変動にも左右されにくい、強い基盤ができる点は大きなメリットです。

企業イメージ向上と人材の確保

環境問題に真剣に取り組む姿勢は、消費者や取引先からの信頼を高め、「応援される会社」へとブランド力を育てます。また、社会貢献への意識が高い今の若者世代にとって、GXに取り組む企業は魅力的な就職先に映ります。「この会社で働きたい」と思われることで、優秀な人材が集まりやすくなる効果も期待できます。

新しいビジネスチャンスの獲得

脱炭素への挑戦は、今までの当たり前を見直すきっかけになります。新しい技術や製品を開発したり、環境に配慮した新サービスを始めたりすることで、これまでになかった売上の柱を作ることができます。世界中で需要が高まっている分野だけに、現状維持ではなく変化を選ぶことが、大きな成長につながります。

グリーントランスフォーメーション(GX)とカーボンニュートラルの違い

「カーボンニュートラル」は、温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引きゼロにする『目標』や『状態』を指します。
一方「GX」は、その目標を達成するために、クリーンエネルギーへの転換や産業構造の変革を行い、経済成長につなげていく『取り組み』のことです。つまり、目指すべきゴールがカーボンニュートラル、そこに経済的なチャンスを見出しながら向かうプロセスがGXです。

GXと脱炭素の違い

「脱炭素」と「グリーントランスフォーメーション(GX)」は、どちらも環境問題に関する重要な取り組みではありますが、目的や範囲に違いがあります。

内容

特徴・目的

脱炭素(Decarbonization)

主に温室効果ガス(特に二酸化炭素)を削減する取り組み。

温室効果ガス削減に特化。GX実現のための一要素。

グリーントランスフォーメーション(GX)

脱炭素を超え、環境負荷を減らしながら持続可能な経済成長を追求。企業や社会のビジネスモデルや活動の変革を目指す取り組み。

温室効果ガス削減に加え、持続可能な社会への包括的な変革を実現。

GX化・GX推進とは?

GX化・GX推進とは?

GX化は実際の取り組みのことを表し、GX推進はその取り組みを促進する活動です。
GX化は、脱炭素社会の実現に向けて、温室効果ガスの削減や(再生可能な)クリーンエネルギーを積極的に活用していく取り組みを指します。一方、GX推進は、企業や政府が積極的にGXを進めるための活動や戦略を実施することです。2023年5月に今後の日本におけるエネルギー政策の方向性を定めた“GX推進法(正式名称:脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案)”が制定され、GX推進の重要性が極めて強調されています。

GX化・GX推進の取り組みがなぜ重要なのか?

GX化・GX推進は単に脱炭素社会の実現、経済成長だけでなく国際競争力強化に不可欠な取り組みとなります。
(再生可能な)クリーンエネルギーを活用することでコスト削減だけでなく、競争優位性の向上を通じ企業に経済的なメリットをもたらします。
また、欧州連合(EU)による環境規制の強化は日本企業の国際競争力に直接的な影響があると考えられます。特に、東証プライム市場上場企業様においては、これらの動向をいち早く捉え、GXを経営戦略の中核に据えることが、持続的な企業価値向上への鍵となります。

グリーントランスフォーメーション(GX)に取り組んでいる企業の事例

GXに取り組んでいる他社の事例を紹介します。
※本コラムに掲載している事例は、公開情報をもとに紹介しているものであり、当社が導入支援を行ったものではありません。

トヨタ自動車株式会社の事例

トヨタ自動車株式会社では持続可能な社会の実現に貢献するための新たなチャレンジとして、「トヨタ環境チャレンジ2050」と定め、推進をしています。
取り組み内容として、新車CO2ゼロチャレンジや工場CO2ゼロチャレンジ、循環型社会システム構築チャレンジ等3つの領域で6つのチャレンジ項目を掲げています。
参考>>

Amazonの事例

Amazonでは2019年に他社と合同で気候変動イニシアチブ「The Climate Pledge(気候変動対策に関する誓約)」設立に調印しました。
2025年までには自社の使用する電力をすべて再生可能エネルギー由来にし、2040年までには温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指していました。
しかし、当初の予定よりも7年早くグローバルの事業活動で使用する総電力量と同等の電力量を100%再生可能エネルギーで確保するという目標を達成しました
参考>>

ENEOSホールディングス株式会社の事例

2019年にカーボンニュートラル目標を掲げ、第3次中期経営計画と合わせて新しいカーボンニュートラル基本計画を策定し2023年に公表しました。
カーボンニュートラル社会の実現に向け、「温室効果ガス排出削減」と「社会の温室効果ガス排出削減への貢献」の2本柱で構成されています。
「温室効果ガス排出削減」のロードマップや温室効果ガスの排出抑制の取り組み、「社会の温室効果ガス排出削減への貢献」として従来型資源に依存しない循環型社会の実現に向けたサーキュラーエコノミーに関する取り組みについて公表しています。
参考>>

ダイキン工業株式会社の事例

ダイキンは、戦略経営計画「Fusion25」において、環境負荷低減を企業活動の中心に据えています。この計画では、温室効果ガス排出実質ゼロを目指す「環境ビジョン2050」を策定し、ヒートポンプ技術の適用拡大やインバータ技術の普及促進などを通じて、空調・冷凍・冷蔵分野での消費電力量削減を目指しています。
参考>>

加藤軽金属工業株式会社(非鉄金属製造業)

サプライチェーン全体の脱炭素化に積極的に取り組んでいます。自社のCO2排出量算定を終え、グリーンアルミの普及に向けた活動や、省エネ診断によるCO2排出量削減を進めています。
参考①>>
参考②>>

国内大手鉄鋼メーカーの事例

国内大手鉄鋼メーカーでは、気候変動を重要な経営課題と捉え、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた長期環境ビジョンを策定しています。
鉄が将来も不可欠な素材であるという認識のもと、脱炭素インフラの整備と国際的な競争条件の整備を前提に、脱炭素技術の早期確立に取り組みます。
具体的には、グリーンスチールの需要増を見据え、国内での着実な低炭素化に加え、カーボンリサイクル高炉や水素還元製鉄などの革新技術の確立を世界に先駆けて進めることを目指しています。
※国内大手鉄鋼メーカーの公開資料を参考に作成

GX戦略を支援するESG経営共創サービスの概要
ESG経営共創サービスの概要資料がダウンロードできます。

資料の主な内容
ESG経営共創サービスの概要、解決できる課題、Scopeの範囲、サービスメニューなどを詳しくご紹介しているカタログです。
また、ESGのデータマネジメントプラットフォーム「Kkuon」についても、主な機能や画面イメージ、何ができるのか?を解説しています。

グリーントランスフォーメーション(GX)の具体例「企業ができること

再生可能エネルギーの導入をする

太陽光パネルを設置: 自社のエネルギーを部分的にでも太陽光でまかなうことが可能です。
再生可能エネルギーを使用する電力プランへの切り替え: 地域の電力会社が提供しているグリーン電力プランに変更することができます。
参考>>

エネルギー効率の向上をする

LED照明の導入: オフィスや施設内の照明をLEDに変更することで、電力消費を大幅に削減できます。
省エネ機器の導入: オフィス機器や工場設備を省エネルギー型のものに切り替えることで、コスト削減と環境負荷軽減を同時に実現できます。
参考>>

ペーパーレス化の推進をする

クラウドベースのソフトウェアを導入: 書類やデータをクラウドに保存することで、ペーパーレス化が進み、業務の効率化も図れます。
電子契約の導入: 契約書の電子化により、紙の使用を削減しつつ、業務の迅速化を実現できます。

インターナルカーボンプライシング(ICP)の導入をする

インターナルカーボンプライシング(Internal Carbon Pricing、略してICP)とは、企業や組織が自社内で温室効果ガス(CO2など)の排出に価格をつけて、経営判断や投資判断に反映させる仕組みのことです。
日本でも多くの企業が導入しており、導入企業例としてアステラス製薬、花王、三井化学、日立製作所などがあげられます。

上場企業に求められるGX戦略と「ESG経営共創サービス」

ESG経営共創サービスの概要

上場企業様にとって、GXはもはや単なるコスト削減やリスクマネジメントの範疇を超え、新たな事業機会の創出、企業価値向上、そして持続的な成長を実現するための不可欠な経営戦略となっています。「ESG経営共創サービス」は、ESG経営における戦略立案から施策実行、情報開示支援までワンストップで対応するフューチャーアーティザンが提供するコンサルティングサービスです。企業のステージや課題に合わせて、最適なプランを提案し、GXを強力に支援します。

✅ESG経営共創サービスのESG経営コンサルティングについて

GX化・GX推進のどの範囲を支援できるか?

実際の支援事例

株式会社ミクニは、2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、「省エネルギー」「CO2フリーの電力化」「燃料転換」の3本柱による環境対策を推進しています。温室効果ガス排出量の把握・分析業務の効率化のため、フューチャーアーティザン株式会社が提供するESGマネジメントプラットフォーム「Kkuon」を導入。従来Excelで行っていた煩雑な作業を自動化し、特にSCOPE3排出量の見える化作業を1/10に短縮しました。

同プラットフォームにより、エネルギー使用量やCO2排出量を部門別・製品別・個人単位でリアルタイムに可視化でき、社員の環境意識も向上。現在は国内3拠点での運用を経て、グローバル展開を進めています。ミクニはKkuonを活用し、持続可能な未来に向けて全社的な環境貢献を加速させています。

ESG経営共創サービス」は、FAFuture Artisan)が提供するESG特化型コンサルティングサービスです。ESG経営における戦略立案から施策実行、情報開示支援までワンストップで対応。企業のステージや課題に合わせて、最適なプランを提案します。
詳細はこちら>>

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