
ものづくり太郎氏×田中剛が語るPLMとBOM戦略その1
「グローバル製造業の変化と日本のポジショニング、PLM/BOMの活用で迅速な意思決定を可能にする」
現代の製造業を取り巻く環境は、かつてないほど複雑で変化が激しい。グローバル競争、技術革新、法規制の変化、そして急速なデジタル化。こうした中で、日本の製造業は岐路に立たされています。従来のものづくりの常識から脱却し、新たな戦略を描くことができるのか。
本対談は、そんな問いに真正面から挑む、日本の製造業の未来を紡ぐ、まさに"アーティザン"たちの熱い議論。FutureArtisan社長 田中剛と、現場と経営をつなぎ、ものづくり業界の魅力をお伝えしている ものづくり太郎氏が、製造業の生命線とも言えるPLM(Product Lifecycle Management )について、その本質に迫ります。
製造業に携わる経営者、技術者必読の内容となっています!
本ページはYoutubeチャンネル アーティザンな人たち『ものづくり太郎氏×FutureArtisan社長田中剛が語るPLMとBOM戦略 その1「グローバル製造業の変化と日本のポジショニング、PLM/BOMの活用で迅速な意思決定を可能にする」 』の要約版です。
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https://youtu.be/ypyVyYsN1Og?si=bOwlGd7IwhCnal_W
目次[非表示]
変化する市場で求められる日本の立ち位置
田中:
フューチャーアーティザンの田中です。本日は「アーティザンな人たち」第1回目のゲストとして、ものづくり太郎さんをお迎えしました。
ものづくり太郎氏:
ものづくり太郎です。よろしくお願いします。第1回目にお声がけいただき光栄です。
田中:
ありがとうございます。記念すべき回ということで、製造業についてじっくりお話ししていきましょう。
ものづくり太郎氏:
製造業のテーマは広範ですが、特に現在のポジショニングについて語りたいですね。企業の経営者層も、どのような立ち位置を取るべきか模索していると思います。しかし、現代は流動的な時代。ポジショニングは固定されるものではなく、変化に応じて都度判断する必要があります。
例えば、トランプ氏の再登場により、米中のデカップリングは今後さらに顕著になるでしょう。また、欧州も独自のルールを強化し、外資の参入を制限する動きを見せています。AIアクト法案やサイバーレジリエンス法案のように、個人情報の収集制限を強化し、GAFAに対抗する動きが加速しています。日本はこうした状況に適応しながら、どのようなポジションを築いていくべきかが問われています。
日本の強みとしては、品質管理(QC)が挙げられます。高品質を維持しつつ、コストを抑えるバランスが重要です。例えば、トヨタのハイブリッド技術が欧州で受け入れられているのも、高品質とコストのバランスが取れているからでしょう。従来のように特定の市場に依存するのではなく、変化を見極めながら柔軟に対応することが求められます。
変化するグローバル市場で求められるアジャイルな意思決定力
田中:
やはり、アジャイル性が重要になってきますよね。
ものづくり太郎氏:
そうですね。例えば、日産のカルロス・ゴーン氏の経営手法は、デフレ時代には適していました。コスト削減を徹底することで利益を確保できたからです。しかし、インフレ時代においては、将来の成長に向けた研究開発(R&D)投資が必要になります。その投資が生み出す価値を正しく評価し、意思決定を下す必要があるのです。
日本の強み:高品質とコストパフォーマンスのバランス
田中:
日本は労働生産性の話がよく出ますが、投入コストに対する付加価値のバランスを考えることが重要ですよね。
ものづくり太郎氏:
そうなんですよ。田中さんのYouTubeでこの話を聞いて「めちゃくちゃいい話だな」と思いました。詳しく発信してほしいですね。
田中:
日本は「改善」が得意で、コスト削減の手法を磨いてきました。しかし、欧州のルール変更に対応しなければなりません。現場の努力だけでは限界があり、上流工程からの戦略的な対応が求められます。特に海外市場をターゲットとする場合、法規制の変化を把握し、適応する力が必要です。
ERPは事後の結果情報、ハイスピード意思決定にはPLM/BOMマネジメントが不可欠
ものづくり太郎氏:
意思決定のスピードを上げるには、社内の情報を素早く可視化することが不可欠です。これはPLM/BOMの話につながります。
例えば、ある上場企業(売上5,000億円規模)のCIOが、「ERPの効果は?」と会長に問われ、「ありません」と答えたそうです。その理由は、ERPは可視化のためのツールであって、直接的な経営効果を生み出すものではないからです。
田中:
ERPは重要ですが、事後の情報管理が主な役割ですね。
ものづくり太郎氏:
そうです。ERPは「過去の原価がどれくらいかかったか」を把握するものですが、「今後どうするべきか」を示すものではありません。そこで必要になるのがPLM(製品ライフサイクル管理)とBOM(部品表)です。
田中:
PLMとBOMがあれば、設計や調達の意思決定を事前に行えますよね。
ものづくり太郎氏:
その通りです。PLMを活用すれば、製造業における設計・調達・生産の最適化が可能になります。ERPと組み合わせることで、リアルタイムな経営判断ができるのです。
ERPを超えて、PLMが企業成長を支える理由
田中:
ERPによる可視化は重要ですが、それだけでは十分ではありません。
ものづくり太郎氏:
そうですね。例えば金融業界では、ERPで財務状況を可視化すれば経営判断ができます。しかし、製造業ではもっと複雑な要素が絡みます。設計・調達・製造の各プロセスをつなぎ、全体を見渡せる仕組みが必要です。そのため、PLMが重要なのです。
田中:
PLMはまさに製造業の要ですね。
ものづくり太郎氏 :
そうなんですよ。実際に「ERPよりPLMが重要だ」と発信したところ、大きな反響がありました。製造業の現場では、ERPだけでは十分でないと感じている人が多いんです。
田中:
これからの時代は、PLMとBOMを活用し、柔軟な意思決定ができる企業が生き残るということですね。
ものづくり太郎氏 :
まさにそうです。日本の製造業がグローバル競争で勝ち残るためには、データの活用とアジャイルな経営判断が不可欠です。
ものづくり太郎氏
株式会社ブーステック代表取締役/製造業系YouTuber
大学卒業後、大手認証機関入社。その後はミスミグループ本社やPanasonicグループでFAや装置の拡販業務に携わる。 2020年から本格的にYouTuberとして活動を開始。製造業や政治経済、国際情勢等のテーマを解説する動画が製造業関係者の間で話題に。 2024年4月1日にはKADOKAWAより、初の著書『日本メーカー超進化論~デジタル統合で製造業は生まれ変わる』を出版。講演や国内外での取材も積極的に行う。
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