
職人が切り拓く日本の製造業の未来|製造業のDXとサステナビリティを推進する「Future Artisan」の挑戦
2025年1月、株式会社ワイ・ディ・シーは「フューチャーアーティザン株式会社」へ社名を変更しました。新たなブランドメッセージ『ONE FOR NEXT~未来でも負けない製造業を~』を掲げ、職人の精神を次世代へつなぐ真のパートナーとして、新たな一歩を踏み出しました。
弊社代表取締役社長・田中剛より、現場視点での改革を重ねてきた背景や 、職人精神とデジタル技術を融合させた新たな価値創出への取り組み、そして日本の製造業が再び世界で輝くためのヒントを語っていただきます。
製造業の未来を支えるキャリアの歩み
フューチャーアーティザンの田中です。私のキャリアは、アメリカのコンピュータメーカー、ヒューレット・パッカードからスタートしました。主に製造業向けの支援を行い、日本の製造業が直面するデジタル化の波を目の当たりにしました。
製造業がグローバル競争に勝ち抜くには、技術革新が不可欠だと痛感し、ベンチャーのコンサルティング会社に転職。ここで部品表(BOM)や設計管理(PLM)を中心とした企業変革に携わりました。しかし、コンサルティングの限界も感じました。システム導入後の定着化には、企業自身の努力が不可欠だからです。そこで、私は製造業に転職し、現場から改革を進めることを決意しました。
2012年、現在の会社に転職し、親会社であった横河電機の改革を推進。12年間の取り組みを経て、日本の製造業をより強くするというビジョンのもと、2022年に社長に就任しました。そして2025年1月、社名を「ワイ・ディ・シー」から「フューチャーアーティザン」に変更。これには、独創的な職人精神を取り入れた製造業の未来を築くという想いが込められています。
日本の製造業が抱える課題
かつて日本の製造業はOECD加盟国で労働生産性1位を誇っていました。しかし、現在は18位にまで落ち込んでいます。その要因のひとつは、コスト削減(分母の削減)に偏重し、付加価値向上(分子の向上)が十分でなかった点です。
日本の強みは高品質な製品を効率的に生産することにあります。しかし、今後は市場の要求に独創的に応える力が求められます。我々は、設計開発情報の価値を高め、PLMとCRM、CPQなどのフロント業務をつなげることで、新たな付加価値を創出しようとしています。
DXがもたらす変革
デジタルトランスフォーメーション(DX)は単なるデジタル化ではなく、「変革」を意味します。しかし、日本の製造業は「継続」には強い一方で、「変化」には弱い傾向があります。そのため、単にITツールを提供するのではなく、業務改革の視点を持ち、どのように変革できるかを提案することが重要です。
2025年1月、グループ内のビジネスポートフォリオを再編し、フューチャーアーティザンは製造業のDXをより強力に推進できる体制を整えました。特に、スマートファクトリー構築を支援し、自動化とデータ活用を加速させています。
競争型アプローチによるソリューション開発
フューチャーアーティザンが提供する「YDC SONAR」は、製造業のデータ活用を支援する競争型ソリューションです。単なるツール提供ではなく、企業とともに課題を議論しながら、実用的な機能を開発することに特徴があります。京都大学の専門家を招き、最新のデータ分析技術を取り入れることで、より精度の高い品質管理や生産性向上を実現しています。
また、大量のデータを単に蓄積するのではなく、「使えるデータ」に変え、技術の伝承を可能にする仕組みも構築しています。データ分析のプロセスを可視化することで、属人化を防ぎ、組織としての持続可能性を高めています。
サステナビリティと製造業の未来
持続可能な社会の実現に向けて、ESGへの対応は不可欠です。特に、技術の可視化と形式化は、熟練技術者のノウハウ継承に大きく寄与します。我々は、DSM(デザイン・ストラクチャー・マトリックス)を活用し、データの関連性を分析しながら、技術の成り立ちを明確にする手法を確立しています。
こうした取り組みにより、日本の製造業が再び世界をリードする存在になることを目指しています。フューチャーアーティザンは、職人の精神を受け継ぎながら、製造業の未来を切り拓いていきます。
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