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気候変動ファイナンスの専門家と語る製造業のためのESG戦略その3

投資家は企業の「ここ」を見ている!ESG時代を勝ち抜く情報開示

本対談は、ESG戦略における情報開示のあり方をテーマに議論します。投資家が求めるのは、単なるリスク情報だけでなく、「オポチュニティ(機会)」の情報であり、それが企業の将来の予見性を測る指標となります。また、欧州の新しい情報開示指令がサプライチェーン全体に及ぶ中で、日本の製造業が取るべき情報開示戦略を解説。企業の価値向上に繋げるためには、プロダクトアウトではなくマーケットインの視点で、投資家が「理解しやすいストーリー」として情報を発信し、エンゲージメントを図る重要性を説きます。

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https://youtu.be/If-XDm4BTdQ?si=Iwbu0QO_yVKRigq8

投資家が求める「リスクとオポチュニティ」の両輪開示

吉高氏
結局この情報開示って誰のためにするのかということでは、相手に伝わらないと意味がないですよね。

田中
僕は危機というのはデンジャーとオポチュニティ(機会)だと思っているので、このオポチュニティ側にどう持ってくかっていうのが、すごいその技術を持って機械に変えてくというところです。

吉高氏
情報開示の中で重要なのがリスクとオポチュニティです。情報開示されたものを金融機関は見ていましたが、どちらかというとネガティブスクリーニング、リスクを中心に見ていました。でも、それだけでは新たなお金というのは回っていかないわけですよ。

金融機関というのは、将来の予見性を測るために、リスクとオポチュニティの両方が出ないと、いけないので、そういった開示のフレームワークになっています。

田中
今回のCOPでも重要だったのは、ファイナンスCOPと言われていて、先進国が途上国に対して資金を出していくという議論です。

吉高氏
これ民合わせてなんですね。例えば中国なんかは今アジアとか途上国にたくさんこの気候変動でお金出しています。それも含めて出しているということになっているので、これからのCOPではこの中国というのは非常に大きな存在になってくるのかなと感じました。

田中
投資家が製造業に求めていることというのをシンプルにいただけるとありがたいです。

欧州指令がサプライチェーン全体に及ぼす影響

吉高氏
投資家が製造業に求めることですが、投資家というとどうしても上場企業が中心になりますが、投資家はサプライチェーンまで見ますので、上場企業だけではないです。

日本の製造業は主に輸出をされているところが多いかと思いますので、今後やっぱり大事なのは、例えば欧州で言われているCSRD(企業サステナビリティ報告指令)という情報開示の指令です。これ域外の企業に対しても2028年から義務化されます。

一方で欧州ではSFDR(サステナブルファイナンス開示規則)という金融機関向けの指令もあり、金融機関の方も投資先に対してサステナビリティを見なくちゃいけないというプレッシャーがあります。日本の資産運用会社なんかも、欧州の投資家から言われています。

そのため、輸出業で欧州に関わる皆様は、きちっとこのCSRDに対してですね、情報開示をまず進めていかなくてはいけないと思います。

「プロダクトアウト」から「マーケットイン」の情報開示へ

吉高氏
情報開示は、企業価値をいかに投資家に理解してもらって、それからエンゲージメントを始めるための素材であるので、その投資家が理解できるような形で情報を出してほしいと思います。

事業会社は自分が出したいことばかりを出すんですけど、そうではなくて、相手がどんなものが欲しいのか。そういったものはやはり自分たちで分からないので、外からの目で見てもらって、一緒になって価値をこの情報開示の中で見せていただくと、投資家側も理解しやすいんじゃないかと思います。

特に製造業はちゃんと製品があるわけですから。見えない価値とは違います。きちっとその価値を定性的、定量的に開示していただくのが一番大事ですし、発信しエンゲージメントして相手に理解してもらう努力をしていただくのが大事かと思います。

田中
製造業ってまさにプロダクトを持ってるのでプロダクトアウトになってしまうんですよね。今の情報開示もどちらかというとプロダクトアウトっぽい、自分たちの出した情報を出すだけ。

そうじゃない。マーケットインなんで、やっぱりその市場が求めてる情報を出して、それを価値に評価されて価値にしていく、そういう動きというのをやっぱりもっともっとするべきなのかなという風には非常に勉強になりました。

日本企業に眠る「まだ見ぬ価値」をストーリーにする

田中
ESGというテーマ、そうじゃなくてこれこそが挑戦して変化して、我々が変われるチャンスなテーマだという風に改めて思いましたので、こういう活動我々も一緒になってお客様にやっていきたいなと思っております。

吉高氏
投資家があの見るのは、同じ業界で社名を隠した時に、この会社はどんな会社だということを見せるのが大事なんですよね。小さな技術の開発でも、これは我々はこう社会になるから必要とされる技術だと思って始めましたというのを、もっとドンと出されるのも一つのストーリーかなと思いますよね。

田中
日本のサステナビリティで面白いのは、日本って長寿企業が多いじゃないですか。ずっとサステナブルにやってるじゃんというのは、これ価値だと思ってもいいんじゃないかと思うんですよね。

吉高氏
価値自分たちの強み、価値みたいなのがあって、ベースとなるものがちゃんとあれば、いろんなところを変化させていけるわけですよね。「まだ見えてない価値」を、当たり前だと思ってたけど実はみんな知らないよっていうこれを知らしめるそのテーマとしてESGをやっぱり使っていく。

会社さんにアドバイスしてる時に、この情報開示するそのプロセスこそが企業の中の変革を生み出すというところにも繋がると思うんですよね。

田中

製造業はセクションが明確に分かれてたりするので、この情報ってここ持ってるじゃん、じゃあここ使ったらもっと価値高く出せるじゃん、というのが今まで分かってない。そこ全体でその活動がそれにつながるというのは、結構すごい面白いキーワードだなと。たくさんの宝が眠っているんじゃないのかなと思います。

吉高 まり 氏
米国ミシガン大学環境・サステナビリティ大学院科学修士。慶應義塾大学大学院政策・メディア科博士(学術)。東京大学教養学部客員教授。慶應義塾大学特別招聘教授。IT企業、米国投資銀行などでの勤務を経、2000年より三菱UFJモルガン・スタンレー証券においてクリーン・エネルギー・ファイナンス部を創設、気候変動関連の資金枠組みづくり、カーボンクレジット組成、ESG、サステナブルファイナンスなどに関与。これらの知見を活かし、政府、地方自治体、金融機関、事業会社に向けてサステナブルビジネス、地方創生の領域についてアドバイスなどを提供するため社団法人を設立。環境省脱炭素先行地域評価委員、GX推進機構運営委員、国際園芸博覧会理事、東京都参与、金融庁サステナブルファイナンス有識者会議メンバーなど政府委員多数。
※プロフィール出典:https://www.virtue-design.or.jp/profile


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