止まらないWeb受注システムで、石油製品供給という社会インフラを支える
クラウド化によるBCP強化とAPI連携でリアルタイム受注処理を実現!

「Web受注システム」は企業の生命線そのものである。受注はサプライチェーンの起点であり、停止することは商品の出荷不可につながり、大幅な売上ダウンとなる。市場シェアを一気に失い、顧客満足度も企業イメージも悪化する。とりわけ、石油製品の精製と供給は社会インフラであり、受注システムの安定稼働は極めて重要な企業使命となっている。
このような認識のもと、コスモエネルギーグループでは特約店様向け受注システム「COSMO NETS」を改修し、クラウドリフトとBCP強化に取り組んだ。さらに、API連携によるリアルタイム処理やセキュリティ強化、電子帳簿保存法対応など、多角的な機能拡張を通じて信頼性と運用性の向上を実現した。
「COSMO NETS」改修を支えたのが、十数年にわたり同システムの構築・運用に携わってきたフューチャーアーティザンの技術力・提案力・サポート体制であった。

お客様に聞く

(写真左から)
コスモ石油マーケティング株式会社 流通業務部 流通企画グループ長 免田 香代子 氏
コスモ石油マーケティング株式会社 流通業務部 流通企画グループ 犬塚 正貴 氏
コスモ石油マーケティング株式会社 流通業務部 受注・配車センター 廣田 恵 氏


※所属・役職は取材時点に基づく

市場との接点となるコスモ石油マーケティング

「ココロも満タンに」のサウンドロゴで知られるコスモエネルギーグループ。コスモ石油マーケティング株式会社は石油製品の販売部門として、2015年に設立されたコスモエネルギーグループの中核会社である。全国に広がるサービスステーション網を通じて、ガソリン・灯油・軽油など石油製品を供給している。「当社はコスモエネルギーグループ内で最もお客様に近い存在です。製油所で精製された石油製品を全国のお客様に安定供給することが、私たちのミッションです」と、コスモ石油マーケティング株式会社 流通業務部 流通企画グループ長 免田香代子氏は説明する。

同社では石油製品販売にとどまらず、車両リース事業や電力小売事業、さらにはアプリを通じた会員サービスの提供など、多様な接点を通じて顧客との関係強化を進めている。同社 犬塚正貴氏も「イオングループと提携したカード事業や、アプリを活用した会員サービスなど、お客様とのつながりを広げる取り組みを展開しています」と補足する。
話題となっている活動として、コスモエネルギーグループでは、日本初の大規模SAF製造設備(使用済みの食用油を原料)を稼働させ、国産SAF(持続可能な航空燃料)の供給・販売を航空会社などに開始し、CO2排出量削減に向けた事業を展開している。

免田 氏

「COSMO NETS」の開発と進化

「COSMO NETS」は、全国の特約店の皆様からインターネットを介して石油製品の注文を受け付け、基幹システムSAPと連携して受注処理を行っている。月間約8万件のオーダーを処理し、コスモエネルギーグループのサプライチェーンを支える重要な基盤となるシステムである。
「COSMO NETS」の運用開始は、2001年にまで遡ることができる。インターネットの商用利用が広がる中、COSMO NETSの前身となるシステムが、ブラウザからお客様が発注できるWebシステムとして開発された。2004年にはハードウェア保守の終了を契機に本格的なリプレース計画が立ち上がり、2006年に再構築され、この時からフューチャーアーティザン(当時 ワイ・ディ・シー)が開発と保守を担うようになった。
「利便性と信頼性の向上を目的とした再構築を検討する中で、複数開発会社が候補に挙がり、最終的にフューチャーアーティザンを選定しました。確かな技術力、柔軟な対応力とサポート体制が評価されたと聞いています」と犬塚氏は語る。
以降、「COSMO NETS」は10年以上にわたり周期的なリプレースを重ね、今回のリプレースでは、データセンター上のオンプレミス構成からクラウドリフトを実施し、災害対策能力とシステムの運用性を大幅に強化した。

Application Load Balancer:外部からのアクセスを適切なサーバに振り分ける。WAF(Web Application Firewall)により、不正な通信を検知・遮断するなど、セキュリティ機能も持つ。
Webアプリサーバ:外部顧客のWebインターフェースの表示を担当する。Create!Formにより、帳票印刷が可能となっている。
BATサーバ: HULFTやDataSpiderにより、基幹システムとデータ連携を行う。LifeKeeper(DataKeeper)により、サーバをクラスタ化することで可用性を上げている。
Amazon Aurora Global Database:DR発動用のDBについてリージョンをまたいでコピー(クロスリージョンレプリケーション)するため、Global Databaseを採用している。

クラウドリフトによるDR体制

「COSMO NETS」の再構築プロジェクトは、「安定稼働と業務継続性の確保」「運用性の向上」「データセンター縮小とクラウド移行」の3つの目的があった。
従来のデータセンター環境において冗長構成とはしていたものの、災害発生時に広域でシステムを切り替える仕組みは整っていなかった。今回は、AWSの東京リージョンと大阪リージョンにシステムを構築し、BCP(事業継続計画)が可能なDR(災害復旧)体制とした。何時間以内に切り替え可能か、どの時点までデータを復旧できるか、明確な目標を設定したうえでインフラ設計を行い、システムの信頼性を飛躍的に向上させた。

また、運用担当者向け・エンドユーザー向け双方に新たな機能を追加し、操作性と利便性も改善している。基幹システムとの連携方式をHULFTからSAPのAPI連携へと切り替え、受注情報をリアルタイムに反映する。「受注状況を即座に確認できるようになり、現場の判断スピードが上がりました」(犬塚氏)。さらに、日常運用で発生するインシデント対応の効率化や運用監視機能の強化も進められ、運用者の負担が軽減された。
クラウドリフトにより、データセンターの縮小を実施している。オンプレミス環境から脱却され、物理サーバの保守負担から解放されるとともに、クラウドならではの柔軟性と拡張性を活用できる基盤となった。

犬塚 氏

技術力と信頼性でフューチャーアーティザンを指名

再構築プロジェクトのパートナーであるフューチャーアーティザンは、十数年にわたりシステムの運用・保守を担い、安定稼働を支えてきた。
「これまで大きなトラブルがなかったことを評価しています。毎日の受注業務を止めることなく、安定的に石油製品を供給するという使命の重さを考えれば、実績と信頼は非常に重要でした」と免田氏は認める。
「COSMO NETSは特約店様からのオーダーを直接受けるシステムであり、長時間止まれば、発注業務に大きな混乱が発生し、特約店様に多大なご迷惑をおかけすることになります。だからこそ止まらないシステム、強固なシステムが必要でした」と犬塚氏も強調する。

将来を見据えた提案力も選定理由の1つである。今回のプロジェクトでは、クラウドリフトとDR(災害復旧)環境の構築、API連携によるリアルタイム化など、新しい技術要素が数多く盛り込まれた。要求仕様の策定段階からフューチャーアーティザンが積極的に関与し、要件定義や設計においても豊富なノウハウを提供した。
「新しいベンダーにゼロから説明して教育するコストやリスクを考えれば、長年の実績を持つフューチャーアーティザンに任せるのは自然な流れでした」(犬塚氏)。
加えて、24時間365日の監視体制や障害発生時の即応体制も評価され、保守・運用を安心して任せられる体制が整っていることが決め手となった。

リアルタイム処理と情報提供で満足度を向上

2024年初頭に要件定義を開始し 、2025年4月から新システムは本番稼働を開始した。
「従来は10分ごとのバッチ処理で、お客様が発注確定を確認できるまで15分以上かかることもありました。しかし、新システムでは数秒で結果が返り、発注エラーも即座に確認できます」と受注・配車センターの廣田氏は新システムの効果を語る。
また、出荷基地の稼働状況や出荷不可日・引き取り不可日情報を「COSMO NETS」上で提供する仕組みも整備し、全国の特約店様が最新情報を自ら確認できるようになった。以前はFAXやメールでの通知に頼っていたが、システム化により情報伝達のスピードと正確性が向上した。「ID申請機能の追加により、特約店様自身が新規IDの発行や変更をオンラインで完結できるようになり、運用担当者の負担も軽減されています。紙での申請やメールに頼ることがなくなりました」(廣田氏)。
パスワードの複雑化、データベースの暗号化、管理者向け画面へのクライアント証明書によるログイン制御など、多角的なセキュリティ強化を実施。情報漏えいやサイバー攻撃にも万全な体制を整えている。

廣田 氏

社会インフラを支える止まらない受注基盤

残っている改善テーマもある。その1つが、FAX依存の最小化である。犬塚氏は「お客様のIT環境に左右されるため、お客様に応じた対応が必要となります。その中で大きな課題は、オーダー締切時間後のオーダー変更対応によるFAX受信処理が多々あり、その対応の業務削減を目指しています」と現状を説明する。今後は「COSMO NETS」上の入力支援を高め、できる限りのデジタル化を進めていく。
配送予定の可視化も拡張していく。配送先であるお客様にも、何時にローリーが到着するかを伝えることができれば、お客様自身が発注品の到着時刻を確認し、荷卸し立ち会い業務や配車効率を改善することもできる。
受注システムが止まれば、その影響は企業の売上損失にとどまらず、石油製品を必要とする社会全体に及ぶ。だからこそ「止まらない受注システム」を築き上げることが重要であり、その実現にフューチャーアーティザンの技術力とノウハウが発揮されている。
「当たり前のように安定稼働していることが最大の成果です。止まることはありませんし、お客様からのクレームもありません。そのうえで新しい技術を取り込み、よりお客様に寄り添う仕組みへ発展させたいと考えています」と免田氏は抱負を口にする。
「COSMO NETS」は単なる受注システムにとどまらず、石油製品供給という社会インフラを支える基盤となっている。

お客様プロフィール

会社名

コスモ石油マーケティング株式会社

本社所在地

〒104-8323 東京都中央区京橋一丁目7番1号

設立

201526

資本金

10億円

従業員数

248名(2025331日現在)

事業内容

石油製品(ガソリン・軽油・灯油等)の販売、サービスステーション事業、カーリース事業、
電力小売事業

特約店数

195店(2025331日現在)

サービスステーション(SS)数

2,546店(固定式のみ・2025331日現在)

■ 関連リンク
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